無線アクセスポイント(AP)を導入する際に必ず要件に入る1つが「電源」ですよね。
APに必要な電源供給量であったり、給電方法など実は考えないといけない要素がいくつもあり、満たしていない場合は無線の送信電力が足りずセル範囲が小さくなったり、使用できる周波数帯が制限されたりなど様々な影響が生まれます。
そこで以前にある環境で802.3at(PoE+)での給電が可能なPoEスイッチにCisco Catalyst9120シリーズを接続しましたが、なぜか802.3atで給電がされませんでした。コレについて原因要素も含め書いていきます。
無線APが802.3atで給電されない。
事象
AP(Catalyst9120)をPoE給電可能なスイッチ(Catalyst9200)へ接続しましたが、802.3at(PoE+)で給電されない現象が起きていました。Catalyst9200のモデルではPoE+にて給電が可能な型番となっておりましたので1ポートにて最大30Wのバジェットを確保することができます。なので本来であれば接続することでAP側に最大25.5Wの電源を受け取ることができます。
しかし、WLCの画面からはAPは15.4Wしか給電されていないように見受けられ、パフォーマンスが出ておりませんでした。
※Catalyst9120はフル機能を使用する場合、802.3at(PoE+)での給電が必要となります。
色々設定を見てみた
スイッチ側でPoEの給電制限などを見ましたが「power inline」など特に設定はされておらず、PoEの設定もデフォルトのままです。AP側は特にPoEの設定はされておらず、デバッグ/システムメッセージには以下が大量に出力されておりました。
LLDP PoE negotiation FAILED !!
非常に怪しいと私は思い色々調べてみました。
原因はCDP/LLDP
やはりシステムメッセージの出力が問題のようで、スイッチ側でCDP/LLDPが無効になっていることが原因でした。
no cdp run
no lldp transmit
Cisco APは規格802.3at以上にて給電が必要な場合、必要給電量やIEEE電力クラスなどをやり取りするためにCDP/LLDPによってネゴシエーションする必要があります。LLDP/CDPが無効な場合、ネゴシエーションに失敗しデフォルトの割り当て15.4Wで給電してしまいます。
そのため、接続されたAPとの適切な電力ネゴシエーションを確保するためにCDP/LLDPのどちらかを有効にする必要があるため、802.3af(PoE)より大きい電力が必要な場合は注意が必要です!
ちなみに、スイッチ側でCDPが有効かは以下コマンドで確認が可能です。
switch#show cdp
Global CDP information:
Sending CDP packets every 60 seconds
Sending a holdtime value of 180 seconds
Sending CDPv2 advertisements is enabled